「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」にて

THE BEATLESが好きです。
オトナになってから大好きになりました。

私が生まれたのは1988年なので、
80年に無くなったジョンには会えなかったにしても、
ジョージには会いたかったな、とつくづく思います。
なにしろ、私はジョージハリスンが大好きなのです。

2011年秋に公開された、マーティンスコセッシ監督の
「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」は、そのジョージを追ったドキュメンタリー映画。


BEATLESと聞けば、ポールとジョンを先に思い浮かべがち。
私もきちんと好きになる前は、
そんな漠然とした印象しかありませんでした。

しかしこの映画を見て、Beatlesというストーリーが好きになって、
ジョージハリスンという物語に、陶酔してしまいました。


私は彼の音楽を聴いていると、どこか悲しい印象を受けます。
と同時に、楽しんでいたい、笑顔でいたい、というような
強さがこびりつく様に伝わってきます。
孤独や栄光の影にある感情が、作品に投影されているのかもしれません。
もしくは全然そんなこと意識にもなくて、
ただひたすら創作していたら、結果そうなっただけなのかもしれません。


映画のタイトルは、彼のソロアルバムタイトルでもある
「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」。
「物質的な世界に生きる」という意味です。
彼は、精神的世界に生きようとマントラを唱えたり
クリシュナ(愛の神様)や哲学的瞑想に影響を受けたりしています。
精神世界に生きたい、しかしながらも物質的世界で
生き続けた自身の思いが込められているのかもしれません。


だからなのかはわかりませんが彼の作る歌詞には、
どこか遠い世界を呼び起こします。
アルバムの「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」、
最初のページにはこんな言葉が書かれています。


“I think with us having all the material wealth that we need,
then…you know,the average person feels that if they had a car
and a telly and a house then that’s where it’s at.
But if you get a car and a telly and a house…and even a lot of money…
your life’s still empty because it’s still on this gross level.
What we need isn’t material,it’s spiritual.
We need some other form of peace and Happiness.”



“もし車やテレビや家、更には多くのお金を手にしたとしても
からっぽな気持ちになるにすぎない。
私たちは、物質的なものを必要としているのではなく、
精神的なものを必要としていて、それは幸福や平和などのかたちでもあるのです。”


ジョージはこの言葉を24歳のときに、語ったのだとか・・・。
精神的な豊かさを求めることに、若くから気づいていたのかもしれませんね。

**

ジョージの話を聞くと、どんなに天才と言われ光を浴びた人でも
そこにある「物語」や「人らしさ」が必ずあるんだな、と実感します。
何も特別な存在ではなく、彼らもひとりの人間であることには変わりありません。
(とはいえ彼らは才能に満ちた存在であるのは自明ですが・・・)

そこに気づくと、単なる一面的な存在ではなく、
多面的な「物語」として彼らを見ることができる。
私にとってはそれが「知る」ことから「わかる」ことへの移り変わりであり、
理解の深め方であり、好きになるということなんだと思います。


・・・それにしても、一度でいいからジョージのライブに行きたかったなあ。

【yumihinoue】

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